会計区分について

営利法人である介護事業の会計基準は?

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 ( 省令三十七 )

◆□◆ 会計の区分 ◆□◆

【 第三十八条 】 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、
  指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。( 省令三十七 )

▼ 会計の区分に関する指導が急増しています。

◎ 適正な会計の区分を行っていない場合、運営基準違反として指導対象

◎ 厚労省の規定のため、このことを知らない会計事務所が未だに多い

一つの法人の中で、拠点の異なるごとに、かつサービスの異なるごとに会計を区分することが必要となってきます。

A 拠点の損益計算書
訪問介護 通所介護 福祉用具貸与 介護タクシー A拠点計
・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 計
・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 計
・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 計
B拠点の損益計算書
訪問介護 障害福祉 訪問入浴介護 自費サービス B拠点計
・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 ・ 収 入 計
・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 ・ 経 費 計
・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 ・ 利 益 計

これらの拠点別及び部門別損益計算の実施のため、
老振発第 18 号「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」において
次のような会計処理方法があげられています。

▼ 介護保険の給付対象事業における会計の区分について

1.会計単位分割方法
    施設または事業拠点毎かつ介護サービス事業別に独立した仕訳帳および総勘定元帳を有する。
    BS,PLも事業拠点別に作成。

2.本支店会計方式
    事業拠点毎かつ介護サービス事業別に会計処理。BSの資本の部は分離せず、拠点間取引は本支店勘定

3.部門補助科目方式
    勘定科目の補助コードでサービス事業毎に集計BSはサービス事業別にしないで収支損益のみ区分。

4.区分表方式
    仕分時に区分せず、PLから科目毎に按分基準で配布。配分表を作成して事業別の結果表を作成する。
    科目によっては、部門補助科目方式を併用する。

中小の介護事業については、
Bの部門別補助科目方式もしくはCの区分表示方式が現実的な処理方法となるでしょう。

また、経費項目については拠点・サービスごとに個別に対応させることが正確な処理ではありますが、
次にご紹介するように仕分時に区分せずPLから科目毎に一定の按分基準にて配賦計算することが
実務的な対応となろうかと考えます。

◆□◆ 按分基準の事例 ◆□◆
費   目 按 分 基 準
給与費 ・勤務時間割合・職種別人員配置割合・届出人員割合・延利用者数割合等
材料費 ・各事業所消費金額・延利用者数割合・事業別収入割合
厚生費 ・給与費割合・延利用者数割合
旅費、通信費、交際費、諸会費
雑費、渉外費
・延利用者数割合・職種別人員配置割合・給与費割合
消耗品費、被服費、教養娯楽費
日用品費、広報費
・各事業所消費金額・延利用者数割合
車両費 ・使用高割合・送迎利用者数割合・延利用者数割合
会議費 ・会議内容により事業個別費で区分・延利用者数割合
光熱水費 ・メーター等による測定割合・建物床面積割合
修繕費 ・建物は修繕部分で区分、建物以外は事業個別費として区分
・建物床面積割合
賃借料、地代家賃等 ・賃貸物件特にリース物件については物件の使用割合・建物床面積割合
減価償却費 ・( 建物 ) 床面積割合、延利用者数割合
・( その他 ) 使用高割合、延利用者数割合
徴収不能額 ・各事業の個別発生金額・各事業別収入割合
引当金繰入額 ・( 退職給与、賞与 ) 給与費割合・延利用者数割合
支払利息 ・借入目的別の借入金に対する期末残高割合で区分
( 土地建物 ) 建物延面積割合( それ以外 ) 延利用者数割合

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