社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)
T.社会保険とは
1.健康保険
労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行います。
2.介護保険
40歳以上の方全員が被保険者(保険加入者)となり保険料を負担し,65歳以上の方(第1号被保険者)が加齢による病気等で介護や日常生活の支援が必要となった場合に、保健医療と福祉の両面からのサービスの給付を行うことを目的とします。
3.厚生年金保険
労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定に寄与することを目的とします。
U.社会保険の適用事業所
常時労働者を使用する法人及び個人の事業所で
常時5人以上の労働者を使用する場合は強制適用になります。
|
強制適用業種 |
※強制適用業種以外 |
法人 |
個人 |
法 人 |
個 人 |
5人以上 |
○ |
○ |
○ |
任 意 |
5人未満 |
○ |
任 意 |
○ |
任 意 |
※強制適用業種以外とは一次産業、サービス業、法務業、宗教業をいいます。
V.社会保険の被保険者
1.原則
適用事業所に使用されている人は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、すべて被保険者となります。
2.適用除外
適用事業所に使用されても被保険者になれない人のことを適用除外といい、
次のような場合があります。
1.所在地が一定しない事業所に使用される人(国民健康保険に加入)
2.個人事業主(国民健康保険に加入)
3.公務員等共済組合員
4.後期高齢者医療の被保険者等(75歳以上)
5.70歳以上の者(厚生年金保険のみ)
6.日雇特例被保険者
3.具体的例示
法人の役員等
|
代表者または取締等の役員が報酬を受けているときは、法人との間に事実上の使用関係があるものとみなして被保険者とします。(社長が1人だけでも社会保 険に加入しなければなりません。)
|
パートタイマー、アルバイト
|
次のいずれにも該当する場合には原則として被保険者とされます。
1..勤務時間 1日の所定労働時間が一般社員の概ね ね4分の3以上
2.労働日数 1月の所定の労働日数も一般社員の概ね 4分の3以上
|
被保険者の配偶者 |
被保険者の配偶者は自ら被保険者になる場合を除き、年間所得が130万円未満で あれば被保険者の被扶養者となり、130万円以上であれば別途に国民健康保険に加入することとなります。
|
尚、個人事業主本人は社会保険に加入できませんが、その専従者、配偶者他家族については勤務時間・日数の条件が満たされるのであれば被保険者とされます。
W.健康保険の被扶養者
健康保険では、被保険者が病気になったりけがをしたときや亡くなった場合、または、出産した場合に保険給付が行われますが、その被扶養者についての病気・けが・
死亡・出産についても保険給付が行われます。
1. 被扶養者の範囲
この保険給付が行われる被扶養者の範囲は次のとおりです。
1.被保険者の直系親族、配偶者、子、孫、弟、妹で、主として被保険者に生計を維持
されているもの(被保険者と同居でも別居でもよい)
2.保険者の収入により生計を維持されている次の人(被保険者と同居が要件)
@被保険者の三親等以内の親族(1に該当する人を除く)
例えば伯父、伯母、兄姉、 甥、姪等をいいます。
A被保険者の配偶者で、の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある 者の父母および子
3.被扶養者の収入制限
同居の場合
(1)年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万未満)
(2)年間収入が被保険者の年間収入の1/2未満
別居の場合
(1)年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万未満)
(2)年間収入が被保険者の援助(仕送り)の額より少ないこと
X.
社会保険(健康保険・厚生年金保険)新規加入手続きの方法
1.提出先
事業所の所在地を管轄する年金事務所
年金保険事務所の所在地
2.加入手続き
1..新規適用届
2..被保険者取得届(被保険者となる方全員分)
3..被扶養者(異動)届け (収入や同居の確認ができる書類が必要な場合があります。)
4..国民年金第3号被保険者保険者届(被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)の年全加入 の届出)
5.保険料口座振替申出書(保険料の納付は口座振替が利用できます。ご提出前に金 融機関 で確認印を受けてから提出してください。)
添付書類
@法人事業所の場合は、「法人登記簿謄本(原本)」(60日以内に取得したもの)
原本を確認後返却
A実際の事業所所在地が法人登記簿に表示された所在地と異なる場合は、
「賃貸契約書ま たは不動産登記簿謄本(写)」等の事業所所在地の確認ができる書
類。
尚、原則として、新規適用年月日について新規適用届けを提出した日となります。
ただし、それ以前から適用要件を満たしていたと確認できる場合は、その事実が発生した日となります。
適用年月日に応じて次のア〜エの書類が必要です。
(a)提出日から加入する場合 ・・・不要。
(b)提出月の初日(1日)まで遡及して加入する場合 ・・・ ア〜ウのいずれか。
(c)提出月前月以前の事業実態が発生した日まで遡及して加入する場合 ・・ア〜エの すべて
ア.出勤簿(またはタイムカ−ド)
出勤状況が把握できる書類
イ..賃金台帳
給与明細のわかる書類(交通費の支給に関する帳簿が別にある場合は、その
帳簿もご持参ください。)
ウ.労働者名簿
職歴、雇用契約日が記入されているもの 。(役員については 履歴書等)
エ.源泉所得税領収証書
事業所設立直後のため納付実績のない場合は、次のいずれか1つの控え持参
@法人設立届出書
A納期の特例に関する申請書
B給与支払事務所等の開設届出書
C事業開始等申告書
※ @ABは税務署、Cは都税事務所に提出しているもの
また、手続き後1週間から10日後までに健康保険証が送られてきます。
Y社会保険料の計算
健康保険と厚生年金保険の保険料は、被保険者の標準報酬月額に保険料率をかけて算出した金額を被保険者と事業主が半分ずつ負担し、事業主が事業所を管轄する年金事務所に納付します。(40歳以上65歳未満の被保険者は、健康保険の保険料に介護保険料を上乗せした保険料を納付します。)
また、事業主は、健康保険と厚生年金保険の保険料の他に児童手当拠出金についても納付します。
◆保険料の計算◆
標準報酬月額が200(千円)の場合、被保険者の健康保険、厚生年金保険、児童手当拠出金の額の計算事例(介護保険料は40歳以上65歳未満の被保険者が対象)
尚、児童手当拠出金は全額会社負担となります。
|
健康保険 |
介護保険 |
厚生年金保険 |
児童手当 |
合 計 |
保険料率 |
93.2/1000 |
15.0/1000 |
157.04/1000 |
1.3/1000 |
|
事業主負担分 |
4,660円 |
750円
|
15,704円 |
260円 |
21,374円 |
被保険者負担分 |
4,660円 |
750円
|
15,704円 |
− |
21,114円 |
合計 |
9,320円 |
1,500円 |
31,408円 |
260円 |
42,488円 |
健康保険保険料額表(東京都)
厚生年金保険の保険料額表
Z.保険料算定の基礎となる報酬の範囲
健康保険・厚生年金保険でいう「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与、その他どのような名称であっても、被保険者が事業主から労務の対償として受けるものすべてを含みます。ただし、大入り袋や見舞金のような臨時に受けるものは含まれません。
<支給される報酬の事例>
標準報酬月額の
対象となるもの |
基本給(月給、日給、時間給 通勤定期券、自社製品、被服
など)、通勤手当、残業手当、 (勤務服でないもの)、食事手当、
役職手当、皆勤手当、家族手 社宅・寮住宅手当、
年4回以上支給される賞与など
|
標準賞与額の対象となるもの |
賞与、年3回以下支給される期 現物で支給される賞与、
期末手当、寒冷地手当
|
標準報酬月額・標準賞与額の対象とならないもの
|
大入袋、見舞金、解雇予告手 制服、作業着、見舞品、生産
当、退職金、出張旅費、仕事 施設の一部である住居など
慶弔費など
|
|