労働保険(災労保険、雇用保険共通事項)
T.労働保険とは
労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に労災を保険といいます)と
雇用保険とを総称した言葉であり、保険給付はそれぞれの
保険制度で別個に行われていますが、
保険料の徴収等については、両保険は労働保険として、原則的に
一体のものとして取り扱われています。
労働保険は農林水産業等の一部の事業を除き、労働者を一人でも雇っていれば適用
事業となり、事業主は手続きを行い、労働保険料を納付しなければなりません。
1.労災保険とは
労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは死亡された場合に、被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。
2.雇用保険とは
労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難になる事由が生じた場合に、
労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行うものです。
U.労働保険(労災保険+雇用保険)の加入手続きの流れ
ステップ1
労災保険(労働基準監督署での手続き)
ステップ2
雇用保険(労働基準監督署の手続きが終了後公共職業安定所での手続き)
ステップ1、2の順番に手続きを行う必要があります。
詳細は労災保険、雇用保険の各ページにてご確認下さい。
尚、建設業、農林水産業等は別途の手続きとなります。
http://osaka-rodo.go.jp/hoken/seido/gen/ni.html
V.労働保険料の計算
計算事例
労働保険は、労働者に払う賃金の総額に保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)を乗じて得た額です。そのうち、労災保険分は、全部事業主負担、雇用保険分は事業主と労働者で折半することとされています。
労災保険料率 事業の種類により3/1000から103/1000までに分けられています。
雇用保険料率 事業主と被保険者(労働者)とそれぞれに一定の割合を負担します。
一般の事業で被保険者に支払う年間の賃金が330万円(20万円/月・賞与45万円2回)の場合、一般の事業についての労働保険料率は4/1,000(卸売業・小売業等)、雇用保険料率は15.5/1000ですので 労働保険料は3,300,000円×(4/1,000+15.5/1,000)=64,350円となります。
また、雇用保険の被保険者負担部分は賃金額に被保険者負担率を乗じることにより、
毎月1,200円(200,000円×6/1,000)、賞与時に2,700円(450,000円×6/1,000)となり
年間の合計額は19,800円となります。
従って、事業主負担分の労働保険料は、44,550円(64,350円-19,800円)となります。
〈雇用保険料率〉
事業の種類 |
保険率 |
事業主負担率 |
被保険者負担率 |
一般の事業
|
15.5/1000 |
9.5/1000 |
6/1000 |
農林水産清酒製造の事業 |
17.5/1000 |
10.5/1000 |
7/1000 |
建設の事業 |
18.5/1000 |
11.5/1000 |
7/1000 |
W.労働保険料の算定基礎となる賃金の事例
賃金総額に算入するもの
○基本給・固定給等基本賃金
○超過勤務手当・深夜手当・休日手当等
○扶養手当・子供手当・家族手当等
○地域手当
○住宅手当
○教育手当
○単身赴任手当
○技能手当
○特殊作業手当
○奨励手当
○物価手当
○調整手当
○賞与
○通勤手当
○休業手当
○定期券・回数券等
○雇用保険料その他社会保険料(労働者の負担を事業主が負担する場合)
賃金総額に算入しないもの
○休業補償費
○退職金
○結婚祝金
○死亡弔慰金
○災害見舞金
○解雇予告手当
○年功慰労金
○出張旅費・宿泊費等(実費弁償的なもの)
○制服
○会社が全額負担する生命保険の掛金
○財産形成貯蓄のため事業主が負担する奨励金等
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